皇后杯 JFA第42回全日本女子サッカー選手権大会 準々決勝に進んだジェフユナイテッド市原・千葉レディースは、今シーズンのリーグチャンピオンである浦和レッドダイヤモンズレディースと対戦し2-3で試合を終えた。
猿澤真治監督は「今までもセットプレーでやられていたので準備をしてきましたが、それを上回る攻撃力のあるセットプレーでやられてしまったことが敗因だと思います」と振り返った。
ジェフLの布陣は[3-4-3]。GKに山根恵里奈。最終ラインは右から千野晶子、林香奈絵、市瀬千里が並び、中盤には大熊環、鴨川実歩、岸川奈津希、藤代真帆が入り、前線には成宮唯と大澤春花が構え、頂点には大滝麻未が位置した。
大粒の雪が舞う中で試合はスタート。スリッピーなグラウンドに足を取られパスがつながらない展開となるが、ジェフLはカウンターを狙う。相手の攻撃に対し、ブロックを敷き構える陣形を取り、インターセプトを狙っていくがアタッキングサードでのパスがつながらず、シュートシーンを作り出せずにいた。
その中、先制点を浦和Lに奪われる。チームとして警戒していたセットプレーからの失点。11分、コーナーキックの場面で清家貴子に決められると、15分には塩越柚歩にミドルシュートを捻じ込まれ、2点のビハインドを背負う形となった。
その後も、苦しい時間が続くが守護神・山根が何度もビッグセーブを見せ「(ラインを)上げろ、上げろ」とチームを鼓舞する。
猿澤監督は、ハーフタイムに大滝に代え山崎円美を、市瀬に代え田中真理子を投入し、2点を追いかけた。
すると53分、カウンターで攻め入り、こぼれ球を大熊がミドルシュートを打ち込む。相手キーパーに止められてしまうが攻撃にテンポが生まれる。
73分には、大澤から瀬戸口梢、大熊から小澤寛を2枚同時投入。するとその采配がピタリと当たる。
74分、スピードに乗った小澤がドリブルから右足を振り抜きゴールネットを揺さぶると、その3分後には鴨川のクロスを瀬戸口が合わせ同点とする。
「相手が見えていないところで待っていようと思っていたらボールがこぼれてきました」(瀬戸口)。
2点差を追い付き、勢いをもったジェフLだが83分にセットプレーから失点。再びリードを許した。
瀬戸口は「(セットプレーは)相手のストロングポイントだと分かっていましたし、失点をしないことをチ―ムで共有してプレーしましたが残念でした。そこがジェフLの足りない部分ですし、相手の勝負強さに負けてしまったと感じています」と口にした。
試合終盤にはサイド攻撃で相手を脅かすもゴールは奪えず。チャンピオンチームに食らい付き奮闘したが、後半の失点が重くのしかかり、ベスト8で今大会を去った。
これが現役最後の試合となった山根は次のように振り返った。
「最後に、このチームで出せるものを全部だそうと思って、今できる精一杯で立ち向かえたと思います。本当に楽しかったです。良い時間でした。ありがとうございました」
そして猿澤監督は「もっとジェフLが強くなったところを見せたかったのですが、成長できた部分は確実にあったと思うので、これが来シーズンにつながるように頑張っていきたいと思います」と、今シーズン、チームが着実に成長した手応えを語った。
来シーズン、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの戦いの舞台はWEリーグへと移る。さらに進化したジェフLの姿に期待が高まる一戦で2020シーズンを終えた。